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日本企業の投資先として注目高まるベトナム 製造拠点分散やM&Aなど多様化

23/02/2021

日本企業の投資先として、ベトナムの注目が高まっているという。新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、これまで中国依存が強かった日本企業で、サプライチェーン(供給網)の分散や多様化が進められていることが背景にある。この流れを受けて、新たな投資先としてベトナムが選ばれているのだ。

専門家によると、ベトナム市場は、日本の大企業だけではなく、中小企業にとっても将来性の高い投資先だという。中小企業は、ハノイ市やホーチミン市といった大都市ではなく、その他の地域への進出例が多いなど、今後、その形態はますます多様化しそうだ。

なかでも今後の増加が予想されるのが、企業のM&A(企業の合併・買収)だ。M&A支援を展開するレコフ(本社:東京都)で海外部門を統括する吉田正高マネージング・ディレクターは、「多くの日本企業は、将来性のある市場開拓を模索している。特に、コロナ後を見据えてのM&A案件が増えている」と話す。過去20年にわたる株主による再投資などで、日本企業は23400億ドルにのぼる資金を蓄積してきた。その豊富な資金源に支えられ、2019年には過去最多の4000件のM&Aが実現しているのだ。

一例を挙げると、住友商事傘下のSSJコンサルティング社は、ベトナムの物流大手Gemadept社の発行済株式の10%を取得。また、住友生命は、4兆ドンの追加投資で、保有する保険大手、バオベト・ホールディングスの株を22%にまで増やした。あおぞら銀行は、ベトナムのオリエント・コマーシャル銀行に11%、あすか製薬は製薬大手のハタイ製薬に24.9%、それぞれ出資した。最近では昨年10月、三菱マテリアル社が、マサン・ハイテク・マテリアル社に出資し、発行株式の10%を取得したことなどが記憶に新しい。

このような流れから、新型コロナの収束後、両国間の移動制限が完全に解除されたときには、日本企業によるM&Aのさらに大きな波がベトナムに押し寄せるのでは、との期待が高まっている。