石炭の供給不足、オーストラリアからの輸入強化
商工省は、石炭の供給不足を緩和して、エネルギー安全保障を確保するため、オーストラリアからの石炭輸入を増加した。石炭の不足により、最近では製造工場で停電が発生していた。
◇世界有数の石炭輸出国
オーストラリアの石炭埋蔵量は、1448億1800万トンで世界第3位であり、世界の埋蔵量の14%を占めている。同国の石炭は、他の物質と燃焼させると高い熱放射能力を持つため、蒸気ボイラーや火力発電所で広く使用されている。
写真㊤=石炭輸入の増加は、エネルギー安全保障の確保につながる
オーストラリアでは、全ての州で石炭の採掘が行われているが、産出した石炭の75%が輸出向けであり、大部分は東アジアへ輸出されている。石炭採掘は同国のGDPの5.6%を占め、輸出額では35%に相当する。2021年の輸出量は、1億9820万トンと推計される。
また、オーストラリアの石炭採掘量の約8割が(坑道を掘らず、地表から直接掘り進める)露天掘りであり、他の多くの国が4割であるのに対してその割合が高い。露天掘りは、地下採掘よりコストが抑えられ、資源の9割を回収できるため、オーストラリアは他国よりも競争力のある価格で石炭を販売できる。
同国の石炭産業の強みは、先進技術の活用と安定した生産環境、国際標準の鉄道や港湾施設を有することだ。
◇供給増を要請
グエン・ホン・ディエン商工相は4月1日、オーストラリアのロビン・ムーディー駐ベトナム大使と会談し、エネルギー安全保障と環境保護のための石炭輸入について協議した。ディエン商工相はオーストラリア大使館に対し、4月中に同国の石炭がベトナムに届くように、両国の企業や管理機関の間で緊急会議を開くよう協力を要請した。
また、ディエン氏は、電力価格を維持し、生産と社会保障に十分な電力が供給されるように、質の良い石炭をリーズナブルな価格で販売するよう求めた。
さらに4月5日には、ディエン氏は、オーストラリア鉱物評議会のタニア・コンスタブルCEOや同国の主要な石炭・鉱物輸出業者とオンラインミーティングを実施した。オーストラリア鉱物評議会は、同国の鉱業界を代表する組織で、77の正会員、34の準会員から構成され、(会員らによる輸出は)鉱業部門の輸出額の80%を占めている。
ディエン商工相は、「ベトナムは今年、電力や肥料生産のために、1800万~2500万トンの石炭を輸入する必要がある」と述べ、オーストラリアの石炭輸出業者、とりわけ鉱物評議会のメンバーに対し、この4月からベトナム企業への供給を増やすよう要請した。ベトナムの輸入需要は、オーストラリアの総輸出量の5%未満であり、ディエン氏はこの要請は実現されると考えている。
オーストラリア鉱物評議会は商工省と緊密に連携して、ベトナムへの石炭供給とともに、持続可能な鉱業の発展に向けて、投資や技術移転でも協力を図っていく。
Source: N-liner.jp