EASの役割
ASEAN=東南アジア諸国連合加盟国や、日本、アメリカ、中国、ロシアなど18カ国で構成するEAS=東アジアサミット外相会議が26日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれました。この10年間、EASは、地域諸国が政治や、経済、安全保障などに関する重要な課題を協議する場となっていますが、今後も、重要な役割を果たしていくと見られています。
戦略的位置を持つアジア・太平洋地域が大国による競争が増している地域となっている背景の中で、EASは公開的で明白なフォーラムとして誕生し、域内の平和、安定、発展、繁栄の促進を目指し活躍しています。
大国を集めるフォーラム
EASは、2005年12月、マレーシアで、初めて開催され、ASEAN加盟10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド合わせて16カ国が参加しました。EASはASEANの原則をもとに行われる年次活動です。
2010年にハノイで行われたEASはアメリカとロシアの加盟を決定し、これにより、加盟国数は18カ国となりました。EASは複数の大国を集め、対話と協力の促進、共通の基準の遵守を基礎にする信頼醸成などを目指しています。また、ASEANと相手諸国との協力の強化にも重要な役割を果たしています。
さらに、経済や、環境、気候変動への対応、医療、教育、金融、自然災害の軽減、食糧安全保障、海上保安などの分野での加盟諸国の協力の強化も進めています。
実質的成果を達成
2005年以来、EASは自らの任務を効果的に果たし、多くの成果を収めてきました。中でも、地域諸国間の関係に発生する問題解決や、協力と対話の強化、相互信頼の深化、地域情勢の予測などは主な目標と見られています。
EASは、エネルギーや、教育、金融、医療、自然災害管理と環境保全、ASEAN内の繋がりの強化といった6つの分野を優先課題として位置づけていますが、この10年間、これらの分野で実質的な成果を収めてきました。
2012年に交渉が始まったRCEP=東アジア地域包括的経済連携はその証です。これまで、RCEPに関する交渉は10回にわたり行われてきましたが、その締結により、全世界の貿易総額の30%を占める人口34億人の新しい経済地域が誕生します。
地域の平和・安全保障への貢献
この10年間、EASは、地域全体だけでなく、それぞれの加盟国が自国の問題を解決することにも役立っています。特に、加盟諸国間の衝突の防止にも寄与しています。実際、EASでは、ミャンマーの内政や、タイとカンボジアとの衝突、ベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)問題などが討議されてきました。
地域と世界情勢が複雑に推移している現在、EASは自らの役割を向上させ、法の支配という精神を掲げ、地域の平和、安全保障、加盟諸国間の信頼の強化などに貢献していく方針を打ち出しています。